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探偵事件簿:
鑑定調査相談例01

「死後の取立て」38歳女性

頑固で曲がった事が嫌いな昭和の親父を絵に描いたような父親が先月長い闘病生活の末亡くなりました。
気丈な母は涙ひとつ見せず通夜・葬式をこなし、一週間の休暇をとった私は母と妹の3人で役所の手続きや訪れる弔問客をもてなしておりました。

彼らがやってきたのは葬式から3日目のことでした。私と母が金融機関に手続きに出かけていたときに妹から急いで戻ってきて欲しいとの電話。
どうやら生前に父親にお金を貸していたという人物が現れたらしいのです。私と母親は手続きを急いで済ませ慌てて家に戻りました。
家の前には県外ナンバーの黒塗り高級外車が泊めてあり、私と母を待ち受けていたのはT橋という素人の私が見てもソレとわかる人でした。
話を聞くと4年前父が友人の事業を助けるために500万もの借金をしたというのです。
確かに父は性格からか友人や知人に頼られる事は多かったのですが、私が子供の頃から金銭の貸し借りは友情を壊すと教えられてきましたし、何より私の知る限りでは借金は基本的に嫌いなはず。
納得がいかないのは母も同じで、T橋に何かの間違いでは?と言うとT橋はドスの聞いた関西弁で少し怒った口調で借用書を差し出しました。
差し出された借用書を見ると、そこには確かに父親の署名と実印が押してあったのです。これでは認めざるを得ません。
父が残した財産は現金約300万と実家のみ。もちろんそんな大金が急に用意できるはずも無く、事情を説明すると、また3日後に来ると言い引き取りました。

ところが、母は見逃さなかったのです。借用書の文字が父の字と違うことを。ただ、実印に関しては紛れも無く父のもので、私たちは必死に父の遺品から何か手がかりになるものを探しました。
すると、父の手帳から大きな手がかりを発見したのです。丁度4年前に父が懇意にしていた自動車整備工場の社長に借金を申し込まれた事、お金は貸さなかったが車を買ってあげた事、車庫証明を取るために実印を預けた事でした。
私たちはこの社長こそが借用書を書いた人間である事を確信し、すぐさま警察に行きましたが、証拠がないということで取り合ってもらえませんでした。

私は妹と話し合い残った200万を出し合うしかないとあきらめていました。しかし母は諦めなかったのです。母の姿を見て私も何か良い方法はないかと調べました。
すると、たまたま一件の探偵興信所に辿り着きました。相談員の方が紹介してくれた弁護士の方にT橋との間に入ってもらい、借用書のコピーを取り寄せ、父の手帳と自動車工場の社長自筆の見積書と筆跡鑑定をしていただきました。
やはり、結果は私たちの思っていた通りでした。私たちはすぐに自動車工場の社長の家に行き、説明を求めると、全てを白状してくれました。
亡くなった父親も望まないだろうと、裁判沙汰にはしませんでしたが、全てが終わった瞬間今まで泣かなかった母の目から大粒の涙がこぼれ落ちました。

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